ワンセグの背景と市場動向

ワンセグとは、地上デジタル放送で行われる移動体端末向けの放送であり、2006年4月に開始されました。地上デジタル放送(地デジ)は、地上波のUHF帯を使用して開始されたデジタル放送で、デジタルハイビジョンの高画質・高音質番組に加えて、双方向番組、高齢者や障害者にやさしい福祉番組、暮らしに役立つ最新情報番組などが展開されています。このことから、デジタル放送におけるワンセグとは、すなわちICTとそこにおけるユビキタス性をより強く指向した賜物であると言えます。

総務省発表の「ユビキタス化による地域経済成長に関する調査」によれば、2005年の一人当たり実質県内総生産(GDP)を都道府県ごとに比較すると、一人当たり実質県内総生産が最も大きい東京都(約774万円/人)と、最も小さい沖縄県(約280万円/人)との間には約2.8倍の開きがあります。

 2005年の一人当たり実質GDP(総務省「ユビキタス化による地域経済成長に関する調査」)

都道府県ごとの情報通信資本装備率にも偏りがあることから、情報通信資本装備率が低い都道府県における資本増強を通じて地域の情報格差の是正を図ることが経済全体の実質GDPを効率的に押し上げることにも繋がると言えます。

 2005年の一人当たり実質GDP(総務省「ユビキタス化による地域経済成長に関する調査」)

2005年の一人当たり実質GDP(総務省「ユビキタス化による地域経済成長に関する調査」)

一方、国内の情報通信産業は、産業全体の堅調な成長の中で、放送事業については事業者数、市場規模ともに縮小均衡にあります。昨今のメディアの在り方を大きく変えたインターネットにより公共のメディアとしての放送へのニーズを押し下げる格好となっているのも事実です。


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しかし、都市という単位での情報の流布やメディアと街の役割に着目すると、今一度既存の様々なメディアを連携・活用する社会インフラとしてのICTを活用した新しい視聴方法の提供と循環フローを実現する必要があります。

放送の最大の特徴である一斉同報配信により公共のオーディエンスに広く情報を配信し、それらへのリアクションからその属性、志向や経済性に応じて連携先を切り替えたり、段階的に情報を流通させたりする情報伝達手段と、街を単位として時間・場所・オーディエンス属性によって適切なコンテンツを組み合わせ配信する仕組み作りが待望されています。

放送のデジタル化におけるエリアワンセグの登場は、刻々と変わるエリア特性に合わせて様々なメディアの配信コンテンツを配信者に向けてリアルタイムで編成する、いわば従来のメディアミックスに加えた「エリアポータル」機能をもたらすものとであると言えます。放送の同報性、インターネットのリアルタイム性を融合し、更に携帯端末の可搬性を合わせることで、個も衆をも対象とした、場所と時間でどんどん変わる新たな「時空メディア」の創出が可能となるのです。


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